競馬詐欺の判例で過失相殺が否定されたがケースがあるって本当?

競馬詐欺によるトラブルの増加

悪質な競馬情報会社や、悪徳競馬予想サイトによって騙されて詐欺被害にあってしまったという人は年々その数を増やし続けています。 競馬予想サイトが売る予想という情報は、その商品の特性上、返金をするというのがなかなか難しく、ただただお金を返してほしいという旨を伝えたところでそれに応じてくれる可能性というのは極めて低く、一筋縄ではいきません。 その為、詐欺であるという事実、その証拠を突きつけて弁護士等に協力を仰ぐ必要があります。 競馬詐欺被害に遭ってしまった人は、騙されたという事実を他人に言うことに抵抗があり、誰にも相談をせず泣き寝入りとなってしまう事も多く公になっていないものを含めれば、被害者の数というのは想像以上に多いというのが現実と言えるでしょう。

競馬詐欺での全額返金はほぼありえないレベル

全額返金はほぼありえない 競馬詐欺だけに限った事ではありませんが、民事裁判においては原則的に原告と被告、それぞれの主張を聞き、裁判官が双方の過失割合がどの程度であったかを勘案した結果で判決を下すのが一般的です。 詐欺事件の場合だと、騙した側と騙された側の主張があり、その大半が騙された側にも落ち度(過失)があったという判決が下され、損害賠償請求(返金含む)の額が提示したものよりも下げられてしまう事が多く、全額返金となることはほぼありえません。 この様なことから、裁判に至らないケースであったとしても、詐欺業者が全額の返金に応じるというのも望み薄と考えらるわけですね。

競馬詐欺の判例で過失相殺が認められなかったケース

過失相殺が認められなかった さて、前述の通り通常は騙した側、騙された側の双方に過失があり、騙した側は騙された側の過失を相殺した形で支払い命令が下されるのですが、過失相殺が否定されたという判例が過去にはあります。

競馬必勝法業者の不法行為責任

競馬情報提供業者の従業員から「勝つことができる」「確かなレースがある」などと続けざまに勧誘を受け、合計100回、総額約4500万円を事業者に支払った消費者が、従業員の勧誘や情報料の請求は不法行為に当たるとして、事業者に対して使用者責任、事業者の代表取締役に対して共同不法行為責任を主張し、損害賠償を請求した事例である。  裁判所は、情報提供に関する契約が詐欺に当たるとし、不法行為に基づき事業者らに約4900万円の損害賠償を命じ、事業者の行為の悪質性に照らし過失相殺を認めなかった(横浜地裁平成26年8月27日判決<確定>)。

事案の概要

原告: X(消費者) 被告: Y1(競馬情報提供業者) Y2(Y1の代表取締役) 関係者: A・B(Y1の従業員)  Xは1952年生まれの当時50歳代の男性である。2010年12月上旬から突然、XはAから「競馬情報料を支払ってくれれば、勝ち馬情報を教えます」などと、勧誘を頻繁に受けた。Xは、競馬で負けが込んでいたこともあり、情報料を支払えば勝てると思い、Aの言葉を信じ指定された銀行口座に何回か振り込んだ。その後Xは、Bから「Xさんの担当はAには任せられない。自分は確率の高い情報を持っている」などと言われ、Bの情報をもとに馬券を購入したがことごとく外れた。そのたびにBはXに対し、会員のグレードを上げることを勧め、「次は当てますから」「情報元から金を取り戻すには、弁護士費用として200万円を用意してほしい」などと繰り返し情報料等を要求してきた。Xは、Y1およびY2名義の口座に100回にわたり合計約4500万円を振り込んだ。Xが返金を求めることもあったが、その際もBは「今度は当てる」などとして応じなかった。  最初の支払いから1年半後、Xは、Yらの不法行為を主張して支払った総額に加えて慰謝料200万円、弁護士費用約400万円の合計約5100万円の損害賠償を求めて提訴した。なお、Xの代理人弁護士がYらの銀行口座を凍結したところ、Y2はXに対して「2500万円を支払うから口座凍結を解除してほしい」「私が逮捕されると1円も返還されない」などのメールを送信している。

理由

A・BのXに対する勧誘行為および競馬情報料等の請求は、信用性も有用性もない競馬情報を確実性の高い情報のように偽り、情報提供を口実に、種々の虚言を弄(ろう)して、不当かつ高額な情報料等を要求し、Xにわずか1年半程度で合計100回、総額約4500万円もの多額の送金をさせた詐欺行為で、Xに対する損害賠償責任を負うべき不法行為に当たる。そして、Y2はA・Bと3人で競馬情報を提供する会社Y1を営業してきたこと、振込口座がY2名義だったこと等を考慮すれば、Y2はA・Bとともに組織的・計画的にXに対して詐欺行為を行ったと認められ、共同不法行為を理由に、詐欺行為によるXへの賠償責任を負う。また、Y1も、会社法350条(代表者の行為についての損害賠償責任)、民法715条1項(使用者等の責任)に基づき、Y2と連帯し、Xに生じた損害の賠償責任を負う。  過失相殺については、Y2らの「馬券の購入は最終的にすべてXの判断であり、不法行為の成立はない」という主張を否定し、Xが冷静さを欠いていたとはいえ、競馬情報料等で総額約4500万円もの振り込みをしたことは軽率と言わざるを得ないが、Y2らの不法行為の悪質性に照らすと、当事者間の公平の見地から過失相殺を相当とすべき事情があるとまでは言えないとした。  また、弁護士費用は全額認容したうえで、慰謝料については「経済上の被害が回復されれば、特段の事情がない限り、Xの精神的損害も慰謝されるものと解すべき」で、本件については特段の事情は認められないとして否定した。

解説

本件はいわゆる「競馬必勝法」と偽る情報提供詐欺の被害にあった消費者が事業者に対して損害賠償を求めて認められた事例である。「競馬必勝法」(ギャンブル情報提供詐欺)とは、消費者に対して確実に利益が得られるかのような虚偽の話を持ちかけて消費者から金銭を詐取する詐欺的商法の一種である。類似の被害が多発しており、民事裁判も多数ある。また「ロトくじ・宝くじ・パチンコ攻略法(必勝法)」に関する裁判例がある。これらの商法では、実態が無い虚偽の話を持ちかけて消費者から金銭を詐取したとして不法行為による損害賠償を命じている判例が多い。パチンコ攻略情報に関する裁判例では錯誤による契約の無効や消費者契約法による契約の取消しを認めた事例もある。 不法行為構成の判決の問題点として過失相殺の取り扱いがある。本件判決では、消費者が軽率であったとの指摘をしつつも「Y2らの不法行為の悪質性に照らすときは、当事者間の公平の見地から過失相殺を相当とすべき事情があるとまではいえない」として過失相殺を否定した。しかし、宝くじ必勝法に関する過去の判例では3割の過失相殺をしている。その理由として「事業者らが原告をだまして送金させた経過にも不審な点は多いが、事業者らが原告の混乱に乗じて送金を重ねさせた手口は巧妙であり、その言説を信じて送金したこと自体に原告の過失があるとまでは言えないというのが相当であるが、宝くじの当選番号に関する事前情報を不正に入手して利益を得ようとしたことにつき原告には過失があるというべきであって、このような事情を考慮すれば、被告らが賠償すべき損害額を定めるに当たっては30%の過失相殺をするのが相当である」と判示されている。 過失相殺に関する本件判決の指摘は妥当なものであると考えられる。詐欺業者は消費者の落ち度や人間的な欲に付け込んだ手口を用いるのがこの種の商法の本質なのであり、事業者の違法性や悪質性の高さからみれば被害者に落ち度があったとしても過失相殺はなされるべきではないと考えられる。被害にあったことを「落ち度」として過失相殺をするのは、本件のような意図的な詐欺商法をある意味で肯定する姿勢にも通じるものであり問題と言うべきであろう。

競馬詐欺の手口によっては過失相殺が無くなる可能性

競馬詐欺 手口によっては 上記は2017年2月に公表された判例となっており、裁判では過去の判例に照らし合わせた判決を出すことが多いことから、これにより競馬詐欺の手口、詐欺の度合いによっては過失相殺が認められず、全額返金になる可能性が出てきたということになります。 とはいえ、被告に支払い能力が無ければ結果的に全てが返ってくる保証はないとなってしまいますが…。

まとめ

競馬詐欺 判例 今まで、競馬詐欺の場合全額返金にはほぼならないと言われていましたが、今回の判例によって、それが覆されたような形になりました。 何より騙されないようにすること、予防することは大切ではありますが、万が一競馬詐欺被害に遭ってしまったとしても、諦めず返金をして貰うように手段を講じることは大切です。 自身の行為を悔い改めながらも詐欺被害に遭ってしまった時にはどうするべきなのか?どういう結果になるのか、この記事を参考にしてください。